マインクラフトによるオープンデータを活用した豊橋まちなか再現プロジェクト!
皆さんはMinecraft(マインクラフト)というゲームはご存じでしょうか?
サバイバル生活を楽しんだり、自由にブロックを配置して建築などを楽しめるゲームです。
2023年時点で全世界での売り上げは3億本を突破しており、世界で最も売れたゲームとも言われています。
なんとこのマインクラフト上で国土地理院の地図(オープンデータ)を活用して、豊橋市のまちなか再現プロジェクトに取り組まれている方をTwitter上でお見かけしました。
やどやどさんというニックネームでTwitterで発信されており、以下のTwitterアカウントを見て頂くと、国土地理院の地理院地図を背景に、豊橋の駅前大通り、広小路などの建築物をマインクラウト上で作られています。
・やどやど@Minecraft豊橋再現(Twitter)
https://twitter.com/Yadoyadodayo
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豊橋駅の駅前大通
(Twitter: https://twitter.com/Yadoyadodayo/status/1697516024323842086 より) -
駅前から見た光景
(Twitter: https://twitter.com/Yadoyadodayo/status/1638861710626004994 より) -
【Minecrarft豊橋再現】紹介映像
(YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=WmXa0o_X8n0 より)
また、以下のポートフォリオからも豊橋まちなか再現プロジェクトで制作した成果物をご覧頂くことができます。
・やどやど ポートフォリオ
https://shogunsantaro.wixsite.com/minecraft
マインクラフト上での制作という制限もある中で、あまりに現実に忠実にそして美しく、豊橋のまちなかを再現されています。
そんなやどやどさんにインタビューのお願いをし、マインクラフト上での豊橋まちなか再現プロジェクトのお話を聞いてきました。
マインクラフト × 豊橋まちなか再現プロジェクトを始めたきっかけ
やどやどさんがマインクラフトによる豊橋まちなか再現プロジェクトを始めたきっかけは豊橋まちなか図書館の建築に感銘を受けたことでした。
もともとマインクラフト自体はやっており、豊橋駅前の再開発による景観の変化がある中、マインクラフトの世界に落とし込んで地元豊橋のまちの再現をしようと考えたことがプロジェクトの始まり。
2023年時点で豊橋まちなか再現プロジェクトの取り組みを始めて3年目になるとのことです。
その後、プロジェクトを始めるきっかけとなった豊橋まちなか図書館の建築・デザインはなんと IIDA(国際インテリアデザイン協会)、AIA(アメリカ建築家協会)、Interior Design Magazine(アメリカの老舗インテリアデザイン誌)の3つの国際的なデザイン賞を受賞されています。
・Genslerがデザインを手掛けた愛知県豊橋市のまちなか図書館がIIDAやAIA主催の国際的なデザイン賞を受賞
https://www.adfwebmagazine.jp/architect/library-designed-by-gensler-rece...
この豊橋まちなか図書館があるemCAMPUSも本プロジェクトで再現されており、レンダリングしたemCAMPUSと本物のemCAMPUSを比較したものをみると、とても丁寧に精度よく作られていることが分かります。
- 本物のemCAMPUSと再現したemCAMPUSを比較
(Twitter: https://twitter.com/Yadoyadodayo/status/1659564151461797889 より)
また、今は閉店してしまい、再開発となった「ほの国百貨店」もマインクラフト上で再現されています。
- ほの国百貨店
(Twitter: https://twitter.com/Yadoyadodayo/status/1700297993973575957 より)
(Twitter: https://twitter.com/Yadoyadodayo/status/1628758163951591425 より)
(Twitter: https://twitter.com/Yadoyadodayo/status/1629029074885828608 より)
豊橋駅前の再開発によって豊橋のまちなかの景観が変わりつつある中で、このような建築物をアーカイブとして残すという観点でもとても価値があるプロジェクトです。
マインクラフト上での建築物の制作
やどやどさんは マインクラフト上で建築物を再現する際には国土地理院のデータなどを参考にし、1ブロック1メートルの基準で構築されています。
以下のように国土地理院の地図を下地に作っている様子を見ると、普通の人なら気が狂いそうなとても大変な作業であることが分かるかと思います。
- 国土地理院の地図を下地に作っている様子
(Twitter: https://twitter.com/Yadoyadodayo/status/1738376412795678930 より)
(Twitter: https://twitter.com/Yadoyadodayo/status/1584496083069472768 より)
市内の構造物を、幅・奥行き・高さ・模様全てにおいて一切の妥協を許さずに完全再現していくことを目標とされており、職人としてのこだわりを感じました。
こうして作られたマインクラフト上の建築物をBlenderでレンダリングしたものを見ると、まるで現実世界の写真のようです。
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豊橋駅前の昼の風景
(Twitter: https://twitter.com/Yadoyadodayo/status/1725477976127746277 より) -
豊橋駅前の夜の風景
(Twitter: https://twitter.com/Yadoyadodayo/status/1711713981000536411 より)
今後の展望
本プロジェクトは豊橋の中心街の再現からスタートし、徐々にその範囲を拡大しているところです。やどやどさんの目標は、まずはプロジェクトの完成を目指すこと。
そのためにも、制作スピードを上げるための新しい手法として PLATEAU (プラトー)のデータの活用を検討されています。
・PLATEAU(プラトー)
https://www.mlit.go.jp/plateau/
PLATEAU (プラトー)とは、国土交通省が主導する日本全国の3D都市モデルの整備・オープンデータ化プロジェクトです。
3D都市モデルからマインクラフトに取り込むことも技術的に可能なため、豊橋市をより広範囲に再現していく際に活用できることが期待できます。
また、やどやどさんの将来的な目標としては、本プロジェクトをマインクラフトのゲームとしての枠を超え、現実世界においても価値を生み出し、ビジネス化することです。
今後、本プロジェクトの活用先として以下の内容を検討中とのことです。
・制作したデータの配布・公開
・制作した構造物を「メイカーズ・ラボとよはし」で3Dプリンタで出力
(メイカーズ・ラボとよはし: https://www.makerslab.jp/ )
・まちづくりのシミュレーションでの活用(交通量・まちづくりでの合意形成など)
やどやどさんによるマインクラフトによる豊橋まちなか再現プロジェクトは、それ自体が作品としての芸術性は言わずもがな、豊橋のまちなかが駅前の再開発によって時間経過とともに景観が変わっていく中、デジタルアーカイブとして残していけること、さらには未来のまちづくりに役立てられるという可能性を秘めた素晴らしいプロジェクトです。
今後も本プロジェクトのさらなる発展がとても楽しみです!
今回ご紹介したやどやどさんのプロジェクトでもオープンデータの活用・検討されているように、ご自身が取り組まれている課題やプロジェクトへオープンデータを活用し、役立てることも可能です。
皆さんもぜひオープンデータを活用してみてください。