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高校生が挑む!「部活動の縮小化」課題ー蒲郡ハッカソンから生まれたオープンデータ

2025年10月、本サイト(オープンデータ東三河)に、新しいデータセット「蒲郡市 クラブ活動」が公開されました。
本データセットは、蒲郡市の高校生を中心としたチームが蒲郡ハッカソンのプロジェクトとして作成したものです。

蒲郡ハッカソンについては以下のページをご覧ください。

部活動の縮小が進む現状に対し、「小中学生や保護者が地域のクラブ活動をもっと見つけやすくしたい」との思いから、クラブ情報を調査・整理し、オープンデータとして公開しました。さらにそのデータを活用し、クラブ活動を検索できるWebサイトの試作にも挑戦しています。

ハッカソンでの学びが、地域の子どもたちの「新しい居場所探し」を支えるインフラへと育っていく――その第一歩となる事例です。

部活動縮小の危機から生まれた問い

プロジェクトリーダーを務めた高校2年生は、インタビューで活動の原動力となった危機感を次のように語ってくれました。

「自分を成長させてくれた部活の時間がどんどん減っていて、このままだとなくなってしまうかもしれない。何か行動したいと思った。」

放課後の部活動の時間が短縮されたり、少子化の影響で廃部になる部も増えるなかで、「学校の部活だけでなく、地域のクラブも含めた“第2の居場所”を見える化したい」というのが、プロジェクトの出発点でした。

対象としたのは、「蒲郡で活動する小中学生向けのクラブ」です。
スポーツ系・文化系を問わず、子どもたちが参加できる地域クラブを横断的に一覧できるようにすることを目指しました。この取り組みは「若者がデジタル技術を活用して地域課題を解決するプラットフォーム」を掲げる蒲郡ハッカソンの理念とも重なっています。

クラブ活動データをオープンデータにするまで

データ作成では、まず蒲郡市スポーツ協会や市役所のホームページからデータを取得したクラブ一覧をベースとし、実際に施設を訪問して集めたチラシや、クラブ運営者への聞き取りで得た情報を加えています。データの種類や粒度がバラバラだったため、項目を整理しつつ、Excelで「1行=1クラブ」のテーブルにまとめていきました。
その際には、「クラブを探す人がどんな情報を知りたいか」を常に意識しました。似た内容の情報を一つの項目にまとめたり、表現の揺らぎを統一したりといった調整も実施。チーム内で相談し合い、一つひとつ丁寧に確認しながらデータを整えていきました。

クラブ活動検索サイト:中高生に親しみやすいUIを目指して

ハッカソンでは、このオープンデータを活用して、クラブ活動を検索できるWebサイトの試作も行いました。
特に、中高生にとって親しみやすい見た目にこだわり、見やすいフォントやグラデーションを使った背景などを工夫しながらデザインしたそうです。

報告会では「オープンデータを作って公開するだけでなく、そのデータを活用した検索サイトまで開発されており、そこまでの取り組みはなかなか見ない」「少子化の中で親御さん、お子さんがクラブ活動を探すのに役立つのはもちろん、クラブ活動主催者にとっても宣伝効果の価値がある」といった声が寄せられ、その完成度の高さと実用性の観点から高い評価を得ました。特にオープンデータとして公開できる形まで整えた点は、単なる「アプリの試作」だけにとどまらず、地域の他の人も再利用できる資産となっています。

また、今回のプロジェクトでは「生成AI(Gemini)による文章のたたき台作成やアイデア出し」「Canvaを使ったフライヤー・画面デザイン」「Excelでのデータ整形、CSV/JSONでの保存」など、最新のデジタルツールも組み合わせて積極的に活用しています。専門家から話を聞きながら進めたことで「データやAIは自分たちにも使いこなせる身近な道具だ」と実感できたことが、メンバーにとって大きな収穫になったとのことです。

データを育て、部活動の未来へつなぐ架け橋に

蒲郡市はすでに東三河オープンデータ掲載サイトに様々なデータを公開されていますが、今回の「蒲郡市 クラブ活動」データセットは、そうした取り組みの中でも、市民目線から生まれたオープンデータであり、その具体的な活用事例としても位置づけられるものです。

プロジェクトリーダーの高校生は、将来の夢として「データサイエンティストになって、地域や社会の課題をデータから解決できるようになりたい」と話していました。今回の「蒲郡市クラブ活動」のオープンデータづくりと検索サイトの開発は、その第一歩として、自分の街の課題に対してデータでアプローチした実践例となりました。

今後もオープンデータ東三河では、若い世代の挑戦を応援すると共に、こうした活用事例を記事としてご紹介していきたいと思います。

「蒲郡市 クラブ活動」のオープンデータセットは、以下のページからご覧いただけます。データを活用したい方は、ぜひこちらもあわせてご覧ください。