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豊橋の飲食店を応援する「食べてみりんプロジェクト」のご紹介

2020年8月4日に豊橋商工会議所主催で「食べてみりん」が公開されました。

この公開にあわせて、食べてみりんで使用しているデータをOpen Data HIGASHI-MIKAWAへオープンデータとして公開いたしましたので、ぜひご活用ください。

また、本記事の内容については、YouTubeの動画にもアップしていますので、ぜひ以下よりご覧ください。

「食べてみりん」とは

マップ

食べてみりんとは、豊橋の飲食店のテイクアウトやデリバリー情報をマップ上にまとめたwebアプリケーションです。 また、飲食店のSNSなどの投稿をまとめた掲示板や、豊橋のキッチンカー情報なども見ることができます。

マップアプリケーションというものはスポットのデータを多く取り扱うためデータの更新を怠ってしまうケースが少なくありません。そこで、食べてみりんのテイクアウトマップではデータの運用面を特に重視し、データの更新を簡単に行えるようにすることで、継続的に更新するための運用体制作りをしました。

食べてみりんプロジェクト

食べてみりんプロジェクトは、豊橋市内のテイクアウト・デリバリーを中心とした飲食店の情報を統合化し、まちのオープンデータとして発信することを目的とするプロジェクトです。

現在、以下のサイト、冊子の運営者様よりデータ提供のご協力を頂き、情報を統合編纂しています。

本プロジェクトでは以下の団体の皆様にご協力頂き、オープンデータ化の実現を目指しています。
今後も有志によって継続的に更新していく見込みです。

主催

協力者

技術サポート

背景

現在、世界規模で蔓延している流行り病の新型コロナウイルス。ここ愛知県でも、4月16日から緊急事態宣言の対象となり外出を控えるように生活してきました。5月25日に緊急事態宣言が解除されたものの油断はできない状況です。

そんな中で特に打撃を受けているのが飲食店です。外出を控えたことによって自宅での食事が多くなり、外食をする機会が減りました。

そういった飲食店さんを応援するために私たちができることとして、飲食店のテイクアウトやデリバリーの情報、SNSで発信している情報などをまとめて公開することで、多くの人に豊橋の飲食店のPRすることができそれによって町が活性化するのではないかと考えました。

ミーティング風景

週に一度、ウェブインパクト社でミーティングを行いその週やることなどを話し合いました。 基本的な作業は自宅で行い顔を合わせる回数を減らし、ミーティングでもしっかりとマスクをしてコロナ対策も行いながらの作業でした。

作業画面

項目定義

まず、マップのデータを作るにあたって最初に行った項目定義について話していきます。

項目定義とはどんなものかというと、まず、どのような項目のデータが必要かということを考えます。そして、その決めた項目を文字列や数値などどのように表記するかを決める作業です。 今回のアプリでは情報元となるデータが複数あるので、それらを一つにまとめる際に項目定義は重要になってきます。

食べてみりんでは、以下のデータを使用させていただいています。

東三河食べ支えプロジェクト@豊橋(webページ)とHANAMARU PLUS 6月号(冊子)は基本的には同じデータです。 しかし、冊子にはメニューも記載されているため、その情報もwebページを補う形で組み入れました。

また、項目定義では、

なども参考にさせて頂きました。

項目定義の手順は以下のようになります。

1. 項目の列挙

以下のデータの項目の全てを1つの表に列挙します。

2. グルーピング

列挙した項目を比較しひとまとめにできそうな項目をグルーピングしていきます。

3. 項目の選択

グルーピングした項目の中でテイクアウトマップとして必要な項目と不必要な項目で分けます。

手順としては単純なように見えますが、上記のデータの項目全てを列挙しグルーピングするとなるととても大変な作業となります。 しかし、このように使用する項目をあらかじめ定義しておくことで今後の開発をスムーズに進めることができます。

データ作り

次に、実際に使用するデータを作成していきました。

元となるデータの作成

使用データは以下のサイトの運営者様よりデータ提供のご協力を頂き、情報を統合編纂いたしました。

”豊橋商工会議所 食べて応援!プロジェクト掲示板”のデータについてはスプレッドシートで管理しているので、そのデータを使用しました。

”株式会社フェニックス・はなまるプラス 東三河食べ支えプロジェクト@豊橋”についてもスプレッドシートで管理しているデータがあったのですが、そちらのデータは少し古く、webページのデータが最新版でした。 そのため、最初にwebページから1つのスプレッドシートに落とし込むという作業をしました。

また、(先述の通り)東三河食べ支えプロジェクト@豊橋(webページ)とHANAMARU PLUS 6月号(冊子)は同じデータですが、冊子にはメニューが記載されているので、その情報も冊子から組み入れました。

データ作りをする際、住所の正規化ということを行いました。 住所の書き方というのは人それぞれです。正規化では、その表記方法を揃えることで、データとして使いやすくします。

住所の正規化については、まずCode for Sabae代表の福野泰介さんがIMI住所変換コンポーネントをESモジュール化したツールを活用させて頂きました。

IMIコンポーネントツール ESモジュール版

こちらのツールに関しては、福野さんが以下のブログ記事にまとめて頂いています。

IMI住所変換コンポーネントをESモジュール化、まずはざっくり正常系だけ動作するβ版を公開

まずは上記のツールに住所を入れ、住所内の都道府県、市区町村、町名、丁目、番地、号の各項目を適切に分解しました。そして、政府CIOポータルが出している標準ガイドラインの住所フォーマットにあわせて、分解した住所の各項目を当てはめて、住所の正規化を行いました。

行政基本情報データ連携モデル - 住所

データの統合

次に、データの統合についてです。

データの統合では、先ほどの項目定義で必要と判断されたデータを取り出していきます。基本的には互いのデータから足りない部分を補いながらデータを埋めていきます。

似たような項目については、どちらのデータを優先して使用するか検討をしました。

まず、所在地についてです。緯度経度、店舗所在地エリアといった情報は、事前に正しいことを確認できているデータを優先して使用しました。

電話予約可やデリバリー対応、予約必須などの情報では、元データにはそのような項目がなく、紹介文や一言の中に一緒に書かれている状態でした。なので、紹介文などから読み解けるところについて取り入れました。

料理ジャンルについては単純には当てはまらなかったり、そもそも体系だってないといった問題がありました。なので、料理ジャンルを体系だったものにするべく、新しく料理ジャンルのマスタを作り直しました。 さらに、コロナ収束後のことも考え、本来のお店のジャンルに沿うように、付け直しました。

また、最近ではコロナの情勢が少し落ち着いてきているということもあり、テイクアウトを止めてしまっている店舗もいくつかありました。そういったデータに関しても掲載を取りやめるといった訂正を行いました。

データの作成や統合では、データを補い合うだけではなく、主にどちらを使うか、新しいものを作る必要があるかといった検討の問題が多くありましたが、何とかデータを作成することができました。

今回は豊橋市にある3つの媒体をもとにデータを統合しました。データの統合作業を通して、アプリケーションで使えるようにするためにはフォーマットを整えることがとても大事であることを再認識いたしました。
Code for Japanでは「OPEN EATS JAPAN」という飲食店情報をオープン化し、広く社会で共有するためのプロジェクトが立ち上がっています。市という枠組みだけではなく全国的にこのような動きがあるため、その動向についても注目していきたいと思います。

OPEN EATS JAPAN - Code for Japan

運用フローについて

ここからは食べてみりんのデータの運用についてです。 地図情報はいかに継続的に更新できるかということがとても大事になってきます。そのため、データ運用の流れを決め、自動化できるところは自動化し、手動での作業を減らすことで継続的に更新できるを体制づくりをいたしました。

まず、食べてみりんで管理しているデータは以下の3つとなっています。

  • 台帳
  • オープンデータ用
  • 食べてみりん登録用

台帳は提供してくださったデータを1つに集約したもの、 オープンデータ用はその中からオープンデータとして外部に公開してもよい項目のみに整理したもの、 食べてみりん掲載用はその名の通り、食べてみりんで公開する情報をまとめたものになります。

次に、食べてみりんでのデータの流れについて順番に説明していきます。データの流れは大まかに以下のようになっています。

データフロー_ブログ用

① 台帳へのデータ登録

マップ上のデータは先ほどの”データ作り”で統合したデータを台帳に登録します。それ以外のデータを新規で登録したい場合は登録フォームに入力することで、新しく台帳に登録されます。

② 関連シートの自動更新

台帳に更新が入ると、自動的にオープンデータ用と食べてみりん登録用のシートのデータが自動的に更新される仕組みにしています。

データの登録と更新については手動だととても手間がかかる作業です。地図の更新ができなくなる原因の一つとして、データが多く更新の手間がかかることが挙げられます。食べてみりんでは、webアプリケーションとして公開するデータに加え、オープンデータとして公開するデータも管理する必要がありますが、上記の関連シートの自動更新の仕組みは作業量を一気に減らしてくれます。

③ 食べてみりんへの登録と台帳への反映

まず、データを食べてみりんへの登録を行います。②で自動生成した食べてみりん登録用のcsvファイルを管理画面でインポートし登録します。また、その際には該当の飲食店の画像データも一緒にアップロードして登録します。

csvファイルのインポートと画像のアップロードが終わった後、管理画面で登録されているデータをcsvファイルでエクスポートし、その中から画像データを台帳へと反映します。画像データはスプレッドシートで取り扱うためには保管場所のURLが必要となってきますが、上記の作業によって画像も含めたデータを台帳で管理することができます。また、台帳を更新することでオープンデータ用のスプレッドシートも更新されるため、画像データもオープンデータとして公開することができるようになります。

④ オープンデータの公開

②で作成したオープンデータ用フォーマットから公開用のスプレッドシートにGoogle Apps Scriptを用いて書き出しています。書き出されたスプレッドシートは、 Open Data HIGASHI-MIKAWA で公開されます。公開するデータは他の人が編集できないよう閲覧権限のみとなっております。 公開用のスプレッドシートの記入も自動で行ってくれるので、マップの情報だけでなくオープンデータも簡単に更新できるような仕組みになっています。

公開されたオープンデータは以下のURLよりご確認頂けます。

以上が食べてみりんのデータの流れとなっています。多くのデータ操作を自動で行うことにより、管理しているデータやオープンデータの更新の手間を減らすことができます。このような流れ・仕組みを作ることで、継続的なデータの更新や追加ができるようになっています。

食べてみりんの紹介

ここからは、上記のデータを利用した「食べてみりん」の概要をご紹介します。

食べてみりんでは、主に「ニュース」、「カレンダー」、「マップ」の3つの機能があります。

ニュース

食べてみりんを開くと最初にニュースが表示されます。 ニュースでは登録されてある豊橋の飲食店のSNSやブログなどから発信された情報が掲載されています。

ホットトピックでは直近3日間でよく読まれている記事が表示されます。 最新のニュースでは豊橋の飲食店のSNSやブログなどからの情報を投稿時間の順に表示しています。

記事をタップすることで詳細を見ることができたり、お店の記事一覧を見ることができます。

ニュース

カレンダー

カレンダーでは月ごとに豊橋の飲食店に関するイベント情報やキッチンカーの出店情報を見ることができます。 キッチンカーはお店とは異なった場所で出店することが多いので、キッチンカーがいつ、どこで開催されるのかを知ることができます。

リスト表示では、イベントが「いつ」開催されるのか、 マップ表示では、イベントが「どこで」開催されるのかが分かりやすくなっています。

カレンダーリスト&マップ

マップ

マップでは、飲食店のテイクアウトやデリバリー情報などを地図上で見ることができます。

テイクアウト対応がカバンのマーク、デリバリー対応が車のマークとなっています。 テイクアウトやデリバリーの情報はもちろん、店舗の詳細情報も確認することができます。

マップ

以上、食べてみりんのご紹介をしました。 より詳しい内容や使い方については別の記事で紹介していますので、こちらもご覧ください。

最後に

今回の「食べてみりん」では、豊橋市内の飲食店の情報を簡単に知ることができるwebアプリケーションとなっております。

特に、データの更新について手動で行う部分を減らし手間を最小限にすることで継続的に更新できるような体制が整っているので、長期的に更新をしていくことができます。

ぜひ「食べてみりん」をご活用頂き、外食があまりできない中でもテイクアウトやデリバリーなどで豊橋を盛り上げていきましょう!