地域の歴史をデジタルで繋ぐ一日:「ウィキペディアタウンin田原」
2024年8月25日、田原市博物館や旧田原港をまち歩きし、撮影した写真や文献をもとに百科事典ウィキペディアを編集するイベント「ウィキペディアタウンin田原」が開催されました!
「ウィキペディアタウン」は地域の人物、文化財や観光名所などの情報をインターネット上の百科事典「ウィキペディア」に掲載・発信するイベントです。
地元の町に関する情報をウィキペディアに掲載・発信することで、観光などで地元に訪れる人に対してより町を知ってもらうことに繋がり、さらに、書き手自身も記事を書くことで、地元のことをより深く知ることはもちろん、今まで知らなかった新たな発見をすることもある、とても意義のある活動です!
今回のウィキペディアタウンでは、以下3つのテーマについて編集が行われました。
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1.豊橋鉄道渥美線
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B1%8A%E6%A9%8B%E9%89%84%E9%81%93%E6%B8... -
2.渥美線機銃掃射事件
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%A5%E7%BE%8E%E7%B7%9A%E6%A9%9F%E9%8A... -
3.田原港
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E5%8E%9F%E6%B8%AF
講師としてお迎えしたのは、ウィキペディアンとして活躍されている海獺(らっこ)さんです!
海獺(らっこ)さんは元Wikipedia日本語版管理者であり、大学などの教育機関での講義、図書館や行政などでの研修にも多く携わりながら、精力的にウィキペディアンとしても活動されている方です。
昨年は内容の異なる3つのテーマを3日間連続でとりまとめ、参加者に様々な学びの場を提供してくださいました。
昨年の記事についてはこちら!
- 豊橋・田原で3日間連続で繰り広げられた怒涛のウィキペディア編集祭り(ウィキペディアタウン)!
https://opendata-east-mikawa.jp/node/2532
それでは、「ウィキペディアタウンin田原」について、当日のスケジュールに沿ってご紹介いたします。
■あいさつ・イベント概要(10:00~10:30)
まず、田原市図書館館長の是住 久美子さんからイベント概要についての説明が行われました。是住さんはイベントの目的や背景、そして参加者に期待する成果について解説いただきました。
その後、海獺さんからは今回のイベントの中心となる3つのテーマが発表されました。各テーマには、参加者が協力して議論やアイデアを出し合えるように、1チームあたり5名程度で割り振られました。
■田原のまち歩き(10:30~14:00)
早速、ウィキペディアに記載する情報を収集するため、参加者全員でまち歩きを開始しました。
最初に訪れたのは三河田原駅です。駅には豊橋鉄道渥美線の昔の路線図をはじめとする貴重な資料が展示されており、当時の交通網や地域の歴史を感じることができました。
その後、旧田原港を実際に見学しました。港には水害防止のために設けられた防壁が確認できました。この壁は元々あった堤防の後ろに一段高く追加されたもののようで、地域の経済活動や交通の要として重要な役割を果たしていたことを物語っています。かつての田原港の姿を彷彿とさせる風景が広がり、参加者たちはその歴史的背景や当時の人々の暮らしに思いを馳せました。
昼休憩時にはグリル華様にて昼食をいただきました!
最後に田原市博物館へ移動し、見学しました。博物館では木村さんがガイドを務め、展示を案内してくれました。「開業100年 渥美線」の展覧会が開催されており、地域の歴史や鉄道の発展に関する展示を見学しました。
■ウィキペディア編集作業開始!(14:00~16:00)
崋山会館に移動後、海獺さんからウィキペディア編集についてのレクチャーが行われました。海獺さんは、ウィキペディアが持つ影響力についてお話しし、公平で客観的な立場から記事を作成することの重要性を伝えました。また、信頼性の高い情報源を用いることや、個人の主観(バイアス)を排除して客観的な立場で編集を進める方法についても詳しく説明いただきました。
レクチャーが終了した後、参加者は3つのチームに分かれて作業を開始しました。各チームは、海獺さんに事前にまとめて頂いた記事の見出しに基づき、記事の項目ごとに担当箇所を割り振りました。まち歩きで得た情報や博物館での見学内容を活かし、情報ソースを文献で調べた上でウィキペディアの記事作成に取り組みました。チームごとに協力し合い、正確で読みやすい記事を完成させるために、意見を交換しながら作業を進める様子が見られました。
■成果発表(16:00~16:30)
編集作業が終了した後、チームごとにまとめた記事の発表が行われました。最初に発表が行われたのは「豊橋鉄道渥美線」をテーマに取り組んだチームです。このテーマは既存の記事に加筆修正を行う唯一のチームであり、今回の中で最も難易度が高いものでした。
新たに加筆した項目は「イベント」「メディア」「歴史」。それぞれの項目では、渥美線の沿革や社会的影響、そして地元で行われた関連イベントやメディアでの取り上げ方について詳細が追加されました。
次に、「渥美線機銃掃射事件」の記事を作成したチームからの発表が行われました。
本チームは、1945年に三河田原駅を発車した渥美線電車が米軍の戦闘機により機銃掃射されたという事件に関する新規記事を作成しました。記事の構成は「背景」「記録」「前日物語」の3つのセクションに分かれています。背景では事件の詳細について記述されており、記録では事件当日の出来事が整理されています。さらに前日物語では、渥美線機銃掃射事件を後世に伝えるための物語が紹介されており、平和の重要性を強く感じさせる内容となっています。
なお、前日物語の紙芝居読み聞かせ動画はオープンデータ東三河にて公開されています。ウィキペディアを読んで気になった方は、ぜひご覧ください!
- 前日物語(紙芝居読み聞かせ動画)
https://opendata-east-mikawa.jp/node/1949
最後に、「田原港」をテーマに取り組んだチームからの発表が行われました。このチームは、かつて田原市に存在した港湾である田原港についての新規記事を作成しました。記事の内容は、実際に見学した上で文献を調査し、旧田原港に関する情報を基に、各項目を簡潔かつわかりやすくまとめたものとなっています。まとめられた項目は、「概要」「秋葉山常夜灯」「二七の市」「渥美巡航株式會社」「山田一美」「牟呂」の6つです。概要では田原港の歴史や役割について説明されており、秋葉山常夜灯や二七の市といった地域に根付いた文化的な要素も取り上げられています。また、渥美巡航株式會社や山田一美といった、田原港に関わる企業や人物についての情報も記載されています。このチームは、田原港が地域社会に与えた影響について深く調査し、歴史的な意義を客観的な視点で丁寧に伝えていました。
■まとめ
1日で田原市の歴史からウィキペディア編集まで学べる「ウィキペディアタウンin田原」。
参加者の皆さんにとって、非常に有意義な学びと体験の場となったのではないでしょうか?
ウィキペディアタウンは、地域の歴史を再発見し、デジタルの力でそれを広く伝えるための絶好の機会です。「ウィキペディア編集に挑戦してみたい!」「町おこしの活動に携わりたい!」という方は、是非今後のイベントにご期待ください!
今後もオープンデータ東三河ではウィキペディアタウンの活動に注目するとともに、活用事例の記事としてもご紹介していきたいと思います。