渥美の“知”をアップデート!ウィキペディアタウンin渥美

ウィキペディア編集を通して地域の魅力を発信する市民参加型ワークショップ「ウィキペディアタウン」を、2025年11月9日に開催しました。参加者は地域資料の調査と街歩きを通じて、渥美の歴史・文化・暮らしを裏づけある情報として整理し、ウィキペディアでの編集・新規作成を通じて、地域の知をオープンナレッジとして世界へ発信しました。
今回の舞台は「渥美」。愛知県の南端、三河湾と太平洋にはさまれた細長い半島で、先端の伊良湖岬からは対岸・志摩方面の景色が一望できます。古い街道や寺社、漁の記憶と、野菜や花の生産が息づく“暮らしの現在”が折り重なる場所。そんな渥美を、現地での観察と資料の付き合わせを通して「検証可能な情報」として記事にまとめました。
- ウィキペディアタウンin渥美についての詳細
https://www2.city.tahara.aichi.jp/section/library/info/2511wikiatumi.html

編集・作成が行われたテーマは、以下の3つです
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保美貝塚(加筆)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E7%BE%8E%E8%B2%9D%E5%A1%9A -
潮音寺(加筆)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BD%AE%E9%9F%B3%E5%AF%BA_%28%E7%94%B0%E5%8E%9F%E5%B8%82%29 -
あつみの市レイ(新規作成)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%82%E3%81%A4%E3%81%BF%E3%81%AE%E5%B8%82%E3%83%AC%E3%82%A4
当日は講師として海獺(らっこ)さんが登壇しました。海獺さんはウィキペディア日本語版の元管理者・元チェックユーザーとして長年活動し、2010年代以降、全国各地の学校や図書館、企業研修での講義・ワークショップを多数担当してきた実践家です。一昨年、昨年に続き3年連続で本イベントの講師をご担当いただいており、多角的な視点と豊富な事例で学びの幅を大きく広げてくださいました。
- 海獺さんのブログはこちら!
https://note.com/racco_wp/n/n4f1821e77325
当日の流れ
- あつみの市レイ担当者さんの話:旧「ショッピングセンター レイ」の歩みや、現施設の構想について解説。
- 街歩き:寺院・貝塚などを巡回し、現地で一次確認。
- 海獺さんのお話:ウィキペディア編集の基本や出典の当たり方などを解説。
- 記事作成:海獺さんの説明を基に、図書館資料・公的刊行物を突き合わせて加筆/新規執筆。
- 成果発表:各チームが編集内容と出典を共有。
ここからは、当日の流れをたどりながら、その手ざわりをご紹介します。
あつみの市レイ担当者さんからのお話
まず、あつみの市レイの担当者さんから「ショッピングセンターレイ」についての歴史を説明していただきました。
開業から閉店に至る経緯、テナントの入れ替わり、その変遷を通して現在の「あつみの市レイ」の構想につながっていることが伺えました。
商業施設から地域の学びと交流の拠点へと役割が移り変わってきた道のりを、資料とともに示してくださいました。

街歩き
雨のなか、傘を手に寺院や貝塚を巡りました。
足元の悪い中でも、安全に配慮しながら、記事の骨子づくりに必要な材料を集める貴重な時間になりました。



海獺さんの講義を受けて、記事作成へ
昼食の時間を挟んだ後、海獺さんによるウィキペディア編集の講座が行われました。編集をする際に気を付けるべきことや、間違った発信を行わないための心得、出典の当たり方などを通して、参加者が安全で信頼性の高い編集手順を具体的にイメージできるようになりました。
その後、テーブルごとに役割を分けて、見出しの並びを整えながら文章を磨いていきました。見出しの並びや言い回しをそろえ、迷った点は相談しながら方向性を決定。小さな確認を重ねる形で、記事の骨子が整いました。
成果発表
編集を無事に終えたあと、3チームが順に成果を発表し、編集のねらいと工夫を共有しました。
まず保美貝塚。近年の発掘経過に関する記述を補い、つづけて出土品の説明を厚くしたことで、記事全体の見通しがよくなりました。さらに、地形や水系に触れる背景説明を加えた結果、遺跡の性格や環境が立体的に伝わる構成に。最後には人骨の出土状況の書きぶりも整え、考古学的な要点が読み取りやすくなりました。
つづいて潮音寺。この項目では「歴史」節の小加筆に加え、文化財(渥美太鼓)や仏像、祭事の情報を少しずつ拡充。あわせて「潮音寺と野球」の節に写真を加えたことで、地域とのつながりがテキストだけでなく視覚的にも伝わるようになりました。
最後はあつみの市レイ。新規作成後、歴史・イベント・施設の情報を順に補い、全体の章立てを整えることで、かつての商業施設から現在のコミュニティ拠点へと変化してきた道のりを追いやすくしました。再開業の時期やアクセス情報も落ち着いた形で提示され、初めて読む人にも利用のイメージが持てる内容に仕上がっています。
まとめ
雨のなかの街歩きから始まった一日は、資料に当たり、現地で確かめ、出典を整えて書く——という“知の循環”を参加者全員で体験する時間になりました。今回の取り組みは、渥美の姿を検証可能な情報として世界に共有する第一歩です。記事は公開後も更新され、より確かな内容へと育っていきます。今後もオープンデータ東三河ではウィキペディアタウンの活動に注目するとともに、活用事例の記事としてもご紹介していきたいと思います。
過去のウィキペディアタウンについての記事はこちら!
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豊橋・田原で3日間連続で繰り広げられた怒涛のウィキペディア編集祭り(ウィキペディアタウン)!
https://opendata-east-mikawa.jp/node/2532 -
地域の歴史をデジタルで繋ぐ一日:「ウィキペディアタウンin田原」
https://opendata-east-mikawa.jp/node/2855